作品 水の風 2016年9月2日 / わたしが育った家の周りは 田植えの時期になると辺り一面が水の世界になる。 あまりの美しさに見とれてしまう。 息子も喜び、田んぼのあぜ道をどこまでも歩いていく。 途中で振り返れば、360度水の世界。まるで水上都市。 2人で見とれていると、遠くから風が吹いてきた。 水が風に吹かれて揺れる。 だんだんとこちらにやってきて、わたしたちの体を通り抜けていった。 しばらく2人で放心状態だった。 「いまの、すごかったね。」 息子がぽつりといった。